比叡山延暦寺(4)<山麓・坂本の寺社> [京阪神の旅]
比叡山延暦寺(4)
<山麓・坂本の寺社>
比叡山の三塔巡りを終えた後、延暦寺と日吉大社の門前町として栄えた坂本へ
日吉大社参道の両側には、延暦寺の里坊寺院が並び尋ねて見たかった地域
しかし下山後に遅い昼食を済ませると、新幹線の発車まで残りは2時間強
時間が許す範囲で巡ったが、もう一度時間を掛けてゆっくりと訪れたい所である
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<撮影:11月8日>
日吉大社
<大 鳥 居>
日吉大社は、全国に3800余りの日吉神社、日枝神社、山王神社の総本宮
比叡山及び境内の八王子山をご神体とする神社で、伝教大師最澄が延暦寺を
建立してからは延暦寺の守護神として栄え、大きな影響力を持っていた
<山王鳥居>
元亀2年(1571年)の織田信長の叡山焼討ちにより日吉大社の社殿は
すべて消失したが、信長の没後に豊臣秀吉の尽力により再建した
山王鳥居は、神仏習合を表す独特の形をし合掌鳥居と呼ばれている
<西本宮楼門>
入母屋造り、檜皮葺きの格式のある楼門である
天正14年(1586年)の建造で、国の重要文化財に指定されている
<西本宮本殿>
天正14年(1586年)の建造で日吉造りという独特の形をしている
日吉造りは、屋根の庇が前面と両側面の三面だけで背面には庇がない
大己貴神を祭神とし、国宝に指定されている
<東本宮楼門>
西本宮の楼門と同じ造りだが、全体は少し小さいようだ
建造は、天正14年(1586年)、国の重要文化財に指定されている
<東本宮拝殿>
本宮は拝殿の背後にあるが、檜皮葺き屋根が老朽化し葺き替え工事中
大山咋神を祭神とし、国宝に指定されている
工事現場が見学できる階段が用意されていた
(左):屋根の傷みを写真表示 (右):檜皮葺の見本を展示
日吉神社は紅葉の名所だが、訪れた日は11月8日
ようやくモミジが色づき始めたところ、撮った写真はこの2点のみでした
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滋賀院門跡
<勅 使 門>
比叡山の東麓、坂本には高齢の僧侶が住まう里坊が90ヶ寺も有った
その中でも、滋賀院は江戸末期まで天台座主となった皇族代々の居所であり
後水尾上皇から滋賀院の名を下賜され高い格式を誇っていた、本尊は薬師如来
<滋賀院正面>
元和元年(1615年)、天海大僧正が後陽成上皇より京都法勝寺を下賜され
この地に建立したが明治11年に焼失、現在の建物は比叡山無動寺から移築
今は、坂本の地に54ヶ寺の里坊が残っているそうだ
<庭 園>
宸殿の廊下から、小堀遠州の作と伝えられている池泉観賞式庭園を撮影
<不滅の法灯>
延暦寺根本中堂にあった、先の法灯(三体の一つ)を滋賀院に移したもの
菜種油を満たした受け皿に灯心を浸し灯している、お願いし中の灯を撮影
油を断つと1200年の法灯は消滅、「油断」の語源はここから生まれた
<石垣と白壁>
坂本の町には、穴太(あのう)積みの石垣が多く残っている
中でも滋賀院は高い石垣と白壁に囲まれて堂々とした美しさである
<石垣の町・坂本>
穴太衆は、江戸城・姫路城・名古屋城など現存する城の80%を築城
ここ坂本は石垣の町、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている
穴太衆が積んだ里坊の町を、もう一度見て回りたい
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旧竹林院庭園
<庭園入口>
旧竹林院は元里坊の一つ、境内には3,300㎡の回遊式庭園があり
里坊庭園の中で最大で、今は国指定名勝庭園として一般に公開されている
園内では、紅葉の見ごろに合わせてライトアップの準備をしていた
<書院から見た庭園>
園内には大宮川の清流を取り入れ、八王子山を借景にし築山も配されている
天正年間に建てられた茶室、四阿は、大津市の指定文化財になっている
高齢者に対する配慮でしょうか、椅子が用意されていた
庭園内を散策、主屋の奥に八王子山が見える(右)
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比叡山延暦寺の三塔巡りはこの記事が終章です
次回は、京都ひとり旅<晩秋の嵯峨野>を紹介します
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油断の語源、なるほどです。
by くまら (2012-12-12 09:57)
こんにちは。
最後は時間との闘いになられたのですね。
でも、その時間でこれだけご覧になられたとは凄いです!
坂本も見どころが多いですね。
by kuwachan (2012-12-12 12:30)
いままで数年解けないなぞがとけました。
合掌鳥居・・・神仏習合の賜物なんですね。
ありがとうございます、勉強になりました。
by 駅員3 (2012-12-12 12:53)
叡山焼き討ちが無ければ・・・歴史にタラ・レバは無しでした。
by johncomeback (2012-12-12 13:17)
何処の寺も立派な佇まいで素晴らしいですね。
合掌鳥居は始めて見ました。
後世にもづっと引き継いでほしいものです。
by 旅爺さん (2012-12-12 13:46)
わが家は比べ物ならない小さい庭ですが、小堀遠州流なんです。
小さいけど一応茶庭園で池の形が「心」と言われる形なんです。
by せつこ (2012-12-12 14:40)
「油断」の語源とは、そういう事だったんですねぇ。
初めて知りました^^
by 銀狼 (2012-12-12 14:56)
くまら さん
こんにちは
油断の油は菜種油でした、当たり前ですが石油は
ない時代の言葉ですね
kuwachan さん
こんにちは
欲張りなので、興味が有るとついつい余計に回ってしまいます
坂本は、もう一度ゆっくり歩こうと思っています
駅員3 さん
こんにちは
合掌鳥居は、ときどき見かけますね、廃仏毀釈の被害に
遭わず良かったと思っています、お役に立てて幸いです
by koh925 (2012-12-12 15:13)
johncomebackさん
こんにちは
比叡山焼討ちは、避難される暴挙でしょうが
仏教界の歪みも少し修正されたかも知れませんね
旅爺さん
こんにちは
壮大な規模の延暦寺は、世界遺産に相応しい国の財産ですね
おっしゃるように、長く引き継いで欲しいです
by koh925 (2012-12-12 15:20)
せつこ さん
こんにちは
小堀遠州流の茶庭園をお持ちとは素晴らしいです
きっと代々続く名家なんでしょうね
銀狼さん
こんにちは
油断大敵の語源は根本中堂の不滅の法灯だったんですね
語源を調べるのも勉強になるでしょうね
by koh925 (2012-12-12 15:25)
こんばんは。
格式高いお庭を拝見すると なんだかこころが落ち着きます・・(∩.∩)
by yakko (2012-12-12 17:23)
神仏習合だとあのような鳥居に成るんですか、勉強になります、
しかし比叡山はいい所ですねぜひとも行って見たいですね。
京都など周られたようですね。
by 馬爺 (2012-12-12 18:11)
今回は雨のため駆け足の訪問となりましたが
日吉大社や坂本の雰囲気、大好きです(笑)。
行きたいところはまだまだあったのですが、また
次の機会にゆっくりと訪問します。
旧竹林院庭園、静かな落ち着くお庭ですね。
by ため息の午後 (2012-12-12 21:04)
この鳥居は1586年から人々の営みを見て来たのですね。
そして人々は何かあると宗教に寄りどころを求めて寺社を訪ねたのだと思います。
「不安」「迷い」から逃れるために、貧富、地位に関わらず祈らずにはいられない気持。いつの時代も宗教は最後の砦なのでしょうね。
by orange (2012-12-13 00:05)
山王鳥居は合掌鳥居というんですね。確かに形が違っていますね。…油断の語源もここにあったこと初めて知りました。穴太(あのう)積みの石垣というのも知らなかったです。いろいろ勉強させていただきました。坂本というところはいい所ですね。
by yuzuhane (2012-12-13 09:32)
yakko さん
こんにちは
寺社の庭園を見て歩くと、おっしゃるように落ち着きます
池泉回遊式庭園も枯山水庭園も、どちらもいいですね
馬爺さん
こんにちは
神仏習合の鳥居は、上の三角の部分が寺の建物の破風に
似ていますね、由来はそこに有ると思っています
京都の記事は、次回からアップしますのでご覧ください
ため息の午後あん
こんにちは
私も、坂本は駆け足状態でめぐりましたので
桜の時期にでも再度行きたいと思っています
by koh925 (2012-12-13 11:21)
orange さん
こんにちは
日吉神社は、信長の比叡山焼討ちの後の再建ですが
それでも、500年以上も経っているんですね
歴史的な構造物に接すると、なおさら祈りたい思いになりますね
yuzuhane さん
こんにちは
旅をすると、歴史の勉強になりますね、私も坂本を巡って
知識が深まりました、
もう一度、ゆっくりと巡る予定でいます
by koh925 (2012-12-13 11:29)